不動産売却で査定価格より重要なポイント!高い=選ぶべきとは限らない
不動産会社の査定とリサイクルショップや中古車店の査定、両者は大いに異なります。前者は「いくらで売れるだろうか」という予測であり、後者は「いくらで買取る」という宣言。不動産会社の場合は、高い=選ぶべきとは限りません。ここでは不動産会社の査定価格の出し方や異なる理由、売り主さんにとってよい査定価格とは何かを見ていきます。
不動産売却の査定価格は業者によって異なる
家やマンションなど不動産を手放す場合、まずは不動産会社に査定を依頼します。不動産会社は依頼された物件を査定し、売り主さんと一緒に売出価格を決めるのです。不動産をいち早く現金化したいなら、売出価格は低めに設定しますし、時間的に余裕があるならば、高めに設定します。
しかし、問題は売出価格の元となる査定価格が業者によって異なることです。最近は不動産会社にメールで問い合わせれば査定を行ってくれますから、試しにいくつかの会社に査定を依頼してください。それぞれの価格の差の大きさに驚くはずです。この場合に行われた査定は「簡易査定」と呼ばれます。
机上査定とも呼ばれる方法は、土地の価格と建物の価格の合計で算出します。同じエリアで条件が近い不動産の売出価格や成約価格、公示価格などを元に査定する方法です。にもかかわらず、依頼した不動産会社によって大きな差が出てしまうのです。
しかも簡易査定には、土地や建物の実際の状況・状態が加味されていません。営業マンが現地までおもむき土地や建物、マンションの状況をチェックした上での査定は「現地査定」と呼ばれます。この方法なら正確な査定価格が出そうなものですが、それでも業者によって差が出てしまうのが、不動産売却の査定価格なのです。
査定価格が異なる理由は?
・サンプルとする不動産が異なるから
・不動産会社にも事情があるから
・営業マンの性格にもよるから
不動産会社によって査定価格が異なる理由は、以上の3つです。
「サンプルが異なる」というのは査定の際に参考にする、条件が近い物件の選び方が異なるのです。査定価格の出し方は、大抵の不動産会社は(公財)不動産流通推進センターが定める「価格査定マニュアル」に準じていますから、それほど大きな差はありません。
しかし、このときに参考にする、同じエリアで条件が近い不動産を選ぶのは営業マンです。どれをサンプルにするのかはまちまちですから、結果に差が出てしまいます。これが、同じマンションで同じような物件の成約があったというなら、誰もが同じサンプルを選びますから、査定価格に差が出ることはほとんどないのです。
「不動産会社の事情」とは、不動産会社の戦略ともいえます。高めに査定価格を出せば、売り主さんが任せてくれる可能性が高いと判断しているならば、その会社は査定価格を高めに出すでしょう。また、実績が早く欲しいと不動産会社が考えているなら、査定価格は低めに出して売出価格を抑えることで、早く売れることを狙うでしょう。不動産会社が査定価格をどう考えているかはまちまちですから、査定価格が異なるのです。
「営業マンの性格」とは、強気なら査定価格が高くなり、弱気なら低くなるということですが、それだけではありません。たとえば売り主さんが住み替えを考えていて、物件の一刻も早い現金化を望んでいるとしましょう。こんな場合は査定価格と売出価格を低めにすることで、早く買い手が付くことを狙うはずです。
しかし自分の業績のことしか考えていない営業マンなら、査定価格や売出価格を高く設定するでしょう。そのことで買い手が現れなくてもお構いなし、売り主さんの都合などないがしろにされるかもしれないのです。
適切な査定を行ってくれる業者を選ぼう
不動産が少しでも高く売れて欲しいと考えるのは、売り主さんに共通する願いです。だからといって、高い査定価格を出す業者がよい業者ではありません。高い査定価格は高い売出価格に通じますから、いつまでたっても不動産が売れないという事態になってしまいます。
かといって不動産が早く売れることが大切かというと、それも違います。早く売れてしまうということは、タイミングよく買い手が現れたというのもあるかもしれませんが、査定価格や売出価格が安すぎた可能性もあるのです。不動産業者選びは、実情にあった適切な査定をしてくれることが大切なのです。
不動産の売り主さんには大切な物件を手放すのですから、それぞれ深い事情があるものです。早く現金化したいのか、遅くてもいいから少しでも高く売りたいのか。そんな事情も踏まえた上で、適切な査定価格が出せることがよい不動産業者の条件になります。
売り主さんの立場に立って査定をしてくれる必要がありますし、営業マンとの相性もあります。売り主さんにピッタリの不動産会社を探さなくてはならないのです。そのために複数の不動産会社に簡易査定を依頼することは大切です。不動産のおおまかな価格を知ることができるだけでなく、会社との相性を探るのにも大いに役に立つのです。