相続した土地を売却するための正しい手順とは?節税対策もご紹介!
本記事は亡くなった親族から土地を譲り受けたのはよいものの「どのように売却したらよいか」分からない方への記事となっています。相続した土地を売却する際の税金や、早めに売却したほうが節税になるケース、売るための手順などを紹介しているため、ぜひ参考にしてください。この記事を読むことで大まかな流れを把握できるでしょう。
相続した土地にも売却時に税金がかかる
相続した土地は購入価値が分からないのにもかかわらず、売却時にはいくつかの税金が発生してしまいます。ここでは相続した土地の売却時にかかる税金について解説します。
登録免許税
登録免許税とは、所有権移転登記を発行する際に支払う税金のことで、売主が負担するのではなく、買主が負担する形となります。
登録免許税は「登録免許税=固定資産税評価額×0.4%」でも求められます。代わって、売主が負担する税金を挙げるとすれば、抵当権抹消登記と住所登録登記の2つとなります。これらの2つはそれぞれ1,000円ずつかかるので覚えておきましょう。
譲渡所得税
まず譲渡取得とは所有している土地や建物、貴金属などを売却した際に得た利益を指します。この際発生する税金が「譲渡取得税」であり、所得税および住民税の2つを意味します。
また不動産の譲渡取得税は分離課税といい、給与所得や事業所得とは切り離して計算されることも覚えておきましょう。
加えて譲渡取得税は、所有期間5年以下であると「短期譲渡所得」5年以上だと「長期譲渡所得」となり税率が変わります。所有期間は亡くなった方が、土地を取得した日からの期間なので、相続した日と間違えないようにしましょう。
・所得税
短期=30.63%:長期=15.315%
・住民税
短期=9%:長期=5%
また譲渡取得税は以下の式を使って求められます。
「譲渡取得税=収入金額-取得費-譲渡費用」
このとき、収入金額=売却した金額、取得費=買った時の金額+費用、譲渡費用=売った時の費用となります。
印紙税
どんな物でも取引をする際には、納税の印として印紙を発行する必要があり、印紙の発行にかかるのが印紙税です。
印紙税の値段は以下の通りです。
<売却価格:本則税率:軽減税率>
・1万円未満:200円:非課税
・1万以上10万以下:200円:200円
・10万以上50万以下:400円:200円
・50万以上100万以下:1,000円:500円
・100万以上500万以下:1万円:5,000円
・500万以上1,000万以下:1万円:5,000円
・1,000万以上5,000万以下:2万円:1万円
・5,000万以上1億以下:6万円:3万円
・1億以上5億以下:10万円:6万円
・5億円以上10億円以下:20万円:16万円
・10億円以上50億円未満:40万円:32万円
・50億以上:60万円:48万円
上記の軽減税率とは2022年3月31日まで有効な税率です。
早めに売却したほうが節税効果はある
不動産売却時にどのような税金がかかるかは、分かりましたが、売却したほうがよい時期はあるのでしょうか?ここからは節税効果のある売却時期と早く売却したほうがよい場合を解説します。
相続税を支払ったケース
相続税を納税した方も、すぐに土地を売却するとよいでしょう。なぜなら相続税を納税した方は、相続税の申告期限の3年以内に売ると節税になるからです。節税を行うと譲渡所得税は以下のように変わります。
「譲渡所得=収入金額-取得費-取得費に加算する相続税-譲渡費用」
上記のように譲渡所得から差し引かれる金額が大きくなるため節税につながるのです。
納税額を支払えない場合
相続税の納税額を支払う資金がない場合には、納税資金を用意するために早めに土地を売却するとよいでしょう。
相続税の納税の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内なので、後回しにせず売りに出すことが大切です。
相続した土地を売却する手順
ここからは相続した土地を売却する手順について3stepでお伝えします。
step1:遺産分協議
土地を売却する時、一人の独断や、その場の雰囲気で売ってしまうことは避けましょう。必ず相続人同士集まり、充分に話し合いを重ねることが大切です。この際行うのが遺産分割協議です。
遺産分割協議とは相続人が相続財産の分割について話し合うことを指します。遺産分割協議の結果で後々もめるとややこしいため、専門家(弁護士など)に遺産分割協議書の作成を依頼し、証拠を残しておきましょう。
step2:相続登記+土地の売却
次は相続登記と土地の売却です。相続登記は相続する土地の法務局で行います。相続登記で必要な書類は以下の通り。
・相続人全員の戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・収入印紙
・被相続人の住民票の除票
・所有権移転の登記申請書
・不動産取得者の住民票
・固定資産評価証明書
遺産分割協議を行って相続する場合には、以下の2点も追加で必要です。
・相続人の印鑑証明書
・遺産分割協議書
土地の売却については、不動産会社に依頼して土地の売却を行いましょう。とくに困る点はないですが、注意点としてあげるならば、依頼する不動産会社は相続する土地の周辺で探すとよいでしょう。
その土地に精通している不動産であれば適正な価格で買い取ってくれる可能性が高くなります。
step3:現金を分ける
土地の売却が住んだら最後は、現金を遺産分割協議書通りに分割します。このとき土地の売却に税金がかかりますが、この税金も相続人全員で支払います。
まとめ
今回は相続した土地を売却する際の税金とその手順、加えて節税対策についてお伝えしました。相続した土地は思い出の土地でもあるとは思いますが、節税対策という意味では売ったほうが利益が出る場合もあります。
親戚全員でよく検討し、売却をするのか手元に置いておくのか、判断することが大切です。この記事を参考に相続した土地を正しく売却してください。